成長戦略と資本政策

業種にもよりますが高成長企業にとってはその高い利益成長率を保つには借入金が不可欠です。
で、そのうち株主資本比率が低下して、増資をくらいます。。。輦
株主資本比率は特に何%が妥当とかもないので、いつ増資されるのかわかりません。

株主にとっては増資による希薄化は痛いですよね。

zillionaireは今まで高成長のためなら増資もやむなしと考えていましたが、ある単純な企業モデルを作ってみたところ実はそうではないのでは?と思い始めました。

以下の表はROA5%を維持できる仮定のもと、50%の利益成長を続けるための要件を表にしました。
初年度の純利益を1,000百万円、株主資本比率を50%とし、5年後まで記載しています。
下は表をグラフにしたものです。

年度012345
純利益1,000 1,500 2,250 3,375 5,063 7,594
総資産20,000 30,000 45,000 67,500 101,250 151,875
純資産10,000 11,500 13,750 17,125 22,188 29,781
株主本比率50.0%38.3%30.6%25.4%21.9%19.6%
ROE10.0%13.0%16.4%19.7%22.8%25.5%
成長戦略と資本政策

順を追ってみてみましょう。

純利益:50%成長ですから見ての通り、毎年50%づつ増加します。
総資産:この企業はROA5%なので、利益成長率を維持するため総資産も毎年50%づつ増やす必要があります。
純資産:純利益はすべて内部留保に回し、毎年純利益分増加します。
株主資本比率:純利益の積み重ねのペースより、借入金増加のペースが早いため、右肩下がりです。
ROE:レバレッジ効果で右肩上がりです。

仮にこの企業の経営者が株主資本比率は30%以上を保つという経営方針を掲げてるなら、3年後に増資をくらいます。

ところで、このグラフをよく見ると株主資本比率はある一定値に収束する気がしませんか?
そしてどうせ一定値に収束するなら、それ以上株主資本比率は低下しないので、増資する必要もないと思いませんか?

ということで数学の出番です。幸い高校生の数学の知識があれば一定値が算出できます
詳細は続きを読むで

 


初年度の純利益:R
初年度の総資産:A=R/ROA
初年度の純資産:E
初年度の株主資本比率:E/A=E×ROA/R
利益成長率:G

とすると

n年後の純利益:R=R(1+G)
n年後の総資産:A=R(1+G)/ROA
n年後の純資産:E=E+RΣk=1(1+G)
n年後の株主資本比率:E/A=ROA(EG-R(1+G))/GR(1+G)+ROA(1+G)/G

ここでn→∞とするとごちゃごちゃしたROA(EG-R(1+G))/GR(1+G)が0になり、
n年後の株主資本比率はROA(1+G)/Gに収束します。美しい囹
ROAと利益成長率だけで収束する株主資本比率が決定されます。

つまり、このモデルの場合増資せずとも放っておけば、0.05(1+0.5)/0.5=0.15
15%より株主資本比率が下がることがないわけですから、株主や銀行が15%を許容するなら経営者は増資する必要はありません。

結論
株主としては
・低い株主資本比率を許容するなら、経営者に「増資するな」と要求する。
・低い株主資本比率を許容できないなら、増資による希薄化を許容する。
・低い株主資本比率を許容できず、かつ増資による希薄化も許容できなければ「成長スピードを落としてくれ」と要求する。

経営者はROAと成長率との関係を念頭に入れ、株主と対話し資本政策を考えてもらいたいものです。

---おまけ---
ちなみにこの式ROA(1+G)/Gは面白くて、例えば高ROAで安定成長企業のサンマルクホールディングスの値を入れると(おおざっぱに成長率20%、ROA13%とすると)、株主資本比率は78%に収束します。
78%といったら実質無借金経営です。
実際サンマルクは無借金で、毎年20%成長を続けています。
おそらくこれからも安定的に20%成長が可能なので比較的高PERなのでしょうね。

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コメント(2)

実はこれは凄いなと思っていて、成長率50%だとちょっと無謀かもしれないけど、20%~30%なら十分実現可能な成長率で、そのためには長期の借入れや増資が不可欠な面もあるのだと、良く分かるよ。

ポイントは総資産、だろうか。上の例でも、上手くいっている会社は総資産が増えているね。これは新しい視点で、決算BSの総資産を何期分か追うと面白いかもしれないね。
後は、30%なら本当に30%を達成できるのかを見抜く力が必要になって、これはまた別のスキルのようだ。

>後は、30%なら本当に30%を達成できるのかを見抜く力が必要になって、これはまた別のスキルのようだ。

まさにここですね。
ここが自分にすっぽり抜け落ちてることが昨日実感できました。

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このページは、zillionaireが2006年11月26日 18:16に書いたブログ記事です。

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学生時代の2000年2月に株を始めて10年目になります。
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